遠くにいる友達と、アプリを入れずにボードゲームを遊びたい。そんなときの選択肢になる「BoardGameJoin(ボードゲームジョイン)」が、2026年11月5日に正式公開されました。PC・スマートフォン・タブレットのブラウザで、144作品を登録不要・プレイ無料で遊べるサービスです。開発・運営する株式会社Qdanに、最初に選びやすい作品や、実物の遊びを画面に移す工夫、利用者の声から直したことを聞きました。
招待リンクで集合。同じメンバーで別の作品へ
正式公開の発表によると、収録は大富豪・麻雀・花札のこいこい・人狼ゲームなどの定番から、世界と日本の伝統ゲームまで144作品(2026年11月5日時点)。作品によって、1人でCPUと遊ぶものから最大100人で参加できるものまであります。全作品にチュートリアルを用意し、ほとんどの作品ではCPUとも遊べます。

始めるには、公式サイトでゲームを選び、パーティーを作って友達に招待リンクを送ります。QRコードや6文字のコードでも参加でき、同じパーティーのまま別の作品に替えて続けることもできます。会話しながら遊びたい場合は、LINE・Discord・Zoomなどの通話をつないでおく方法が案内されています。

PCの人とスマートフォンの人が、同じ対局に参加できます。リリースのバックギャモンの画面例では、端末ごとに表示の形を変えながら、同じ局面を共有している様子が分かります。

最初の1本には七並べ。パス回数で遊びやすさを調整
初めて集まる人や、ゲームに慣れていない人を含むグループに、Qdanがまず勧めるのは七並べです。知っている人が多く、出せる札が自分の番に光るため、初めてでも手を進めやすいといいます。3〜6人で、1回は約10分。離れた場所から通話しながら始めやすい作品として挙げています。
設定は、既定のパス3回・ジョーカー1枚で十分とのこと。慣れていない人が多ければ、パス回数を少し増やすと途中で抜ける人が出にくくなるそうです。不安がある人は、チュートリアルでCPUと一度遊んでから集まると、始めやすくなります。
もっと短い時間なら、約5分で終わるババ抜きが候補になります。通話をつないだまま楽しむなら、お絵かきクイズもおすすめだそうです。同社は、絵の上手い下手にかかわらず、描いている途中の会話も楽しめる点を挙げました。人数や時間で探すときは、公式サイトの作品一覧から条件を絞れます。
将棋崩しは「引き抜く緊張感」を画面の中へ
デジタル化したときの工夫がよく分かるのが、将棋崩しです。Qdanは、山を崩さないように指先でそっと駒を引き抜く緊張感を大切にしたと説明します。ボタンで取る方式にはせず、指やマウスで駒を実際に引いて運ぶ操作を採用。駒は一つずつ物理計算で動き、ほかの駒に当たると山が揺れたり崩れたりします。

相手の手元の音が直接聞こえないオンラインでは、駒が当たったり擦れたりする音の大きさを、盤上のゲージで見せます。一定を超えると失敗となり、ゲージは操作する本人、相手、観戦者に同じように表示。小さな接触なら許されるため、同社によると、実物のように声を掛け合うやり取りも生まれるそうです。
音には金属的なものを避け、木の駒や碁石の音などを選んでいます。画面には操作している人の手も描き、相手の番でも誰がどこを狙っているか分かるようにしました。一方、離れた場所で順番に遊べるよう、一つの山を共有する手番制とし、駒の種類ごとの点数で競う遊び方を基本にしています。
江戸名所四季遊参双六では、歌川国安の双六の絵を、そのまま盤として使っています。原資料は国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている『江戸名所四季遊参双六』(国立国会図書館所蔵)です。江戸の名所が描かれた盤面をたどる遊びも、ブラウザから選べます。

ほかにも、収録作品にはカラハやクロキノールがあります。リリースで公開された画面を見ると、豆や石を動かす盤と、円形の盤で遊ぶ作品の違いも伝わります。


エイトボールの紹介画面には、台全体を上から見渡す表示と、立体的に台を望む表示があります。伝統的な盤上ゲームだけでなく、こうしたゲームも収録しています。


同じ一局を、それぞれの言語・駒の表示で
サイトは17言語で公開し、作品の対応範囲内で、参加者がそれぞれ自分の言語の画面を使えます。Qdanによると、同じパーティーでもボタンや説明は各自が開いたページの言語で表示されます。ただし、言語が変われば翻訳だけで解決できるわけではありません。

たとえば将棋では、漢字を読まない人にも駒を見分けてもらえるよう、漢字と、動き方を表す記号の2種類の書体を用意。日本語ページでは漢字、それ以外では記号が最初に表示され、各自が自分の画面で選び直せます。同じ一局を、漢字の駒と記号の駒で指せる仕組みです。
一方、中将棋は英語圏でも漢字の駒で遊ぶことが一般的なため、漢字を維持しています。その代わり、盤上のボタンから各駒の英語名と動き方を図で確認できるようにしたそうです。
七並べなどの席の横に出る短い表記は、スマートフォンで文字が重なった経験から、どの言語でも「2 Jokers」「3 Pass」といった短い英語に統一。説明・ボタン・チュートリアルは引き続き各言語で表示します。大喜利や百人一首など、日本語そのものが遊びの核になる作品は、無理に翻訳せず日本語のみで公開しています。
「押しても何も起きない」を、その場で分かる案内へ
Qdanによると、どの作品にも遊び終わったあとに感想や分かりにくかった点、不具合を送れるボタンを設け、届いた声を一つずつ確認しています。取材では、その声から画面を直した3例も教えてくれました。
- 百人一首:次の歌が始まる前に札を押しても、少し沈んで戻るだけだったため、いまは「まだ読む前です」と表示します。
- 大富豪:最後の1枚を8などで上がると反則になる既定ルールが伝わらず、上がったつもりが3位になったという声がありました。札を選んだ時点では「8切り」としか出ていなかった表示を見直し、いまは出す前に反則上がりの警告を出します。
- チンチロ:同じ強さの目なら親が勝つ既定ルールに対し、チュートリアルは一般的な「引き分け」を説明していました。案内を既定ルールに合わせ、地域によって遊び方が違うことも追記しました。
同社は、これらはルール自体の変更ではなく、画面から伝わっていなかったところを直した例だと説明しています。原作者に公開前の作品を遊んでもらう確認は始まったばかりで、その意見を基に画面を変えた例は、まだないとのことです。
見え方や聞こえ方、操作のしかたの違いへの対応は、アクセシビリティへの取り組みでも確認できます。色だけでなく形・印・文字・位置でも区別を示す一方、読み上げソフトやスイッチ・視線・音声操作などには、実機確認がこれからの項目もあります。すべての支援機器で確認済みという意味ではありません。
遊んだ先に、アナログゲームとの出会いも

Qdanは今後、日本のゲームデザイナーやパブリッシャーの作品を中心に掲載していく方針です。権利元向けの掲載案内では、掲載費用なし・非独占で権利は権利元に残し、実装・CPU対戦・翻訳・チュートリアル制作・運営・決済などを同社が担当するとしています。権利元はルールや入稿データを共有し、出来上がりを確認・承認してから公開する仕組みです。新作に限らず旧作・絶版作品も募集しています。
収益は、消費税やストア・決済手数料を差し引いた額の70%を権利元に分配する設計。有料会員向け作品は会費を原資とし、無料作品は広告開始後の広告収入を分配する予定です。広告の開始予定は2027年度とされています。在庫のある作品にはアナログ版の販売リンクを置き、オンラインで覚えた遊びを、実際に集まる場へつなげることを目指します。
利用前に押さえておきたいこと
現在公開している作品はプレイ無料で、登録やインストールは不要です。一方、今後追加する有料作品でパーティーを作る人などに向けた有料会員プラン「プレミアム」も用意され、参加する人は無料と案内されています。将来の作品まで一律に無料というわけではありません。今後はフリーマッチやシーズンごとのランクマッチも予定しています。
まずはBoardGameJoin公式サイトで、遊ぶ人数と時間に合う作品を探してみてはいかがでしょうか。友達との最初の1本なら七並べ、短い時間ならババ抜き。取材で聞いた選び方を手がかりに、久しぶりの集まりにも誘いやすそうです。
本記事は取材回答と公開情報に基づいて制作しています。画像はQdanが報道向けに提供した画面・説明図で、編集部によるプレイ検証の結果ではありません。作品数やサービス内容は2026年11月5日の確認時点です。取材記事の編集方針












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