マンガ界の最前線が語られる!『チ。』作者・魚豊氏が京都精華大学で解き明かす「日本漫画の生産様式とその限界」
皆さんは、現代の日本マンガがどのように生まれ、私たちの手元に届いているか、深く考えたことはありますか?そして、その「生産様式」が抱える可能性と限界とは一体何なのでしょう?
この度、数々の賞を総なめにし、累計発行部数550万部を突破した大ヒット作 『チ。─地球の運動について─』 の作者である漫画家・魚豊(うおと)氏が、京都精華大学にて特別な講演会に登壇されます。これは、手塚治虫文化賞の30回記念として開催される、非常に貴重な機会です。

マンガの「今」と「未来」を語る、その視点に迫る
今回の講演の最大の魅力は、 「日本漫画の生産様式とその限界」 という、非常に挑戦的かつ本質的なテーマに魚豊氏ご自身の視点から切り込んでいく点です。単なる創作秘話に留まらず、業界全体の構造、過去から現代に至る変遷、そしてその先にある未来までをも深く考察する内容になることでしょう。
私が特に注目したいのは、「生産様式」という言葉です。これは、個々の作品が生まれる過程だけでなく、出版社、編集部、そして読者という大きな生態系の中で、いかにしてマンガが生み出され、消費されていくのか、そのシステム全体を指すのではないでしょうか。そこには、デジタル化の波、海外展開、クリエイターの働き方など、現代マンガ業界が直面するあらゆる課題と可能性が詰まっているはずです。

魚豊氏の軌跡が示す、異彩を放つ才能
魚豊氏は、2018年『ひゃくえむ。』で連載デビュー後、2020年より連載を開始した 『チ。─地球の運動について─』 で一躍その名を轟かせました。同作は、
- 第26回手塚治虫文化賞 マンガ大賞
- マンガ大賞2021 第2位
- このマンガがすごい!2022 オトコ編 第2位
といった権威ある賞を数多く受賞。その独特の世界観と深い哲学は、多くの読者を魅了し、シリーズ累計発行部数は550万部を突破、さらにはTVアニメ化もされるなど、社会現象を巻き起こしています。
彼の作品には常に、人間の根源的な問いや、社会に対する鋭い洞察が込められています。そんな彼が語る「生産様式」は、私たちが見落としがちなマンガ業界の深層を浮き彫りにするに違いありません。
ファシリテーターを務めるのは、京都精華大学マンガ学部新世代マンガコース教員の田中圭一教授。ご自身も人気漫画家であり、業界の裏側を知り尽くした田中教授との対話は、講演をさらに深く、多角的な視点へと導いてくれることでしょう。
「表現で世界を変える」京都精華大学が、なぜこのテーマを選ぶのか
今回の講演会が開催される京都精華大学は、「表現で世界を変える人を育てる」という理念を掲げ、人文学部、メディア表現学部、芸術学部、デザイン学部、そしてマンガ学部といった個性豊かな学部を擁する大学です。日本のマンガ教育をリードする存在として、これまでも多くのクリエイターを輩出してきました。

このような大学が、手塚治虫文化賞の記念事業として、単なる作品論ではなく、マンガ業界の「生産様式」という根源的なテーマを掲げることに、私は強いメッセージを感じます。それは、単にマンガを描く技術を教えるだけでなく、クリエイターが活躍できる持続可能な環境、そして社会全体におけるマンガの役割を真剣に問い続けている証拠なのではないでしょうか。
もしあなたがクリエイターを目指す学生なら、あるいはマンガ文化の未来に関心があるなら、この講演会は間違いなく、新たな視点と深い洞察を与えてくれるはずです。残念ながら学内者限定のイベントとなりますが、このような重要な議論が大学で行われることは、日本のマンガ界にとって非常に意義深いことだと改めて感じます。
講演会開催概要
未来のマンガ界を担う学生たちにとって、これほど刺激的な学びの機会は滅多にありません。
- 日時: 2026年1月22日(木) 開場17:30、開演18:00
- 会場: 京都精華大学 明窓館大ホール(京都市左京区岩倉木野町137)
- 対象: **学内者のみ **(申込不要)
- 主催: 朝日新聞社
- 登壇者: 魚豊氏(漫画家)
- ファシリテーター: 田中圭一氏(京都精華大学マンガ学部新世代マンガコース教員)
京都精華大学について
「表現で世界を変える」という教育理念のもと、多様な分野で表現者を育成しています。
- 名称: 京都精華大学
- 学長: 澤田 昌人
- 所在地: 京都市左京区岩倉木野町137
- 最寄り駅:
- 京都市営地下鉄「国際会館」駅からスクールバスで約10分
- 叡山電鉄「京都精華大前」駅から徒歩すぐ
- URL: https://www.kyoto-seika.ac.jp/
- X (旧Twitter) : https://x.com/seika_sekai
- 学部: 人文学部、メディア表現学部、芸術学部、デザイン学部、マンガ学部
- 大学院: 芸術研究科、デザイン研究科、マンガ研究科、人文学研究科
この講演会を通じて、マンガという文化が持つ無限の可能性と、それを支える構造について深く考えるきっかけとなることを願っています。もしあなたが京都精華大学の学生であれば、このチャンスをぜひ活かしてください。











