養老孟司氏の新刊『日本が心配』では、南海トラフ地震がもたらす複合的な危機を、各分野の専門家との対談を通して深く掘り下げています。地震学者、防災学者、経済アナリスト、自然写真家という多様な視点から、災害発生後の日本社会が直面する課題を浮き彫りにするとともに、私たちがどのように生き方を変えるべきかを問いかけます。養老氏は、この未曾有の危機を「日本人が本気で変わるための最後の機会」と捉え、警鐘を鳴らします。
養老孟司が警鐘！南海トラフ地震と日本の未来を憂う『日本が心配』
2025年2月18日、養老孟司さんの新刊『日本が心配』がPHP研究所から発売されます。
本書は、養老さんが、いま一番危惧しているという南海トラフ地震について、地震、防災、経済、環境を専門とする4人の識者と語り合った対談集です。
巨大地震発生時だけでなく、その後に予測される日本社会の変化を詳らかにし、警鐘を鳴らしています。
歴史的データと統計モデルが示す、南海トラフ地震の脅威
南海トラフ地震は、今後30年以内に発生する確率が80％程度と言われています。 対談者の一人である尾池和夫京都大学名誉教授は、歴史的データや統計モデルを基に、発生時期を2030年代後半から2050年代と予測。 中でも2038年を有力視しています。 過去の地震は100～200年周期で発生しており、昭和東南海・南海地震（1944～46年）から既に80年が経過していることが背景にあります。 震源域は広範囲に及び、最大M9クラスとなる可能性も指摘されており、津波被害が大阪や名古屋などの大都市にも及ぶことが予想されています。
養老さんは、現代社会が都会的なシステムに依存しすぎている点に警鐘を鳴らし、震災時には何もできなくなる危険性を指摘。 食糧やエネルギーの自給自足の重要性を訴えています。
複合災害による最悪のシナリオ：「日本が中国の属国になる」？
さらに、南海トラフ地震と首都直下地震が同時に発生した場合、東京、大阪、名古屋といった主要都市が壊滅的な打撃を受け、日本全体が混乱に陥る可能性も指摘されています。 元ゴールドマン・サックスアナリストで、現在は小西美術工藝社代表取締役社長のデービッド・アトキンソンさんは、複合災害が起きた場合の最悪のシナリオとして、「日本が中国の属国になる可能性」を挙げています。
養老さんも、中国からの支援には厳しい条件が伴う可能性を示唆し、災害後の自力復興の難しさを指摘しています。
日本人が生き方を変えるラストチャンス
養老さんは、地震後の日本社会の変化を憂慮しており、「南海トラフを境に、エネルギー、水、食料の供給が滞れば、日本人も本気で生き方を変えるのではないか」と期待を寄せています。 自身の日常に関わる問題として現実を受け止め、真剣に考えるきっかけになるという意味で、南海トラフ地震は日本人が本気で生き方を変えるための最後の機会になるかもしれないと述べています。
書籍情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 日本が心配 |
| 著者 | 養老孟司 |
| 定価 | 990円（税込） |
| 判型・製本 | 新書判・並製 |
| 頁数 | 224ページ |
| ISBN | 978-4-569-85866-1 |
| レーベル | PHP新書 |
| 発行 | PHP研究所 |
| 発売日 | 2025年2月18日 |
| 著者について | 養老孟司（ようろう・たけし）：1937年、鎌倉市生まれ。東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。95年、東京大学医学部教授を退官し、同大学名誉教授に。89年､『からだの見方』（筑摩書房）でサントリー学芸賞を受賞。著書に､『唯脳論』（青土社・ちくま学芸文庫）、『バカの壁』『超バカの壁』『「自分」の壁』『遺言。』『ヒトの壁』『人生の壁』（以上、新潮新書）、『日本のリアル』『文系の壁』『AIの壁』『子どもが心配』『老い方、死に方』（以上、PHP新書）など多数。PHP研究所は日本の出版社。 |
本書は、 предстоящия 南海トラフ地震に備え、私たち日本人が真剣に考えるべき問題提起がなされた一冊です。
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