サイバー攻撃は他人事じゃない!経営者が語る「セキュリティ文化」構築のリアル
もし、突然あなたの会社がサイバー攻撃を受け、事業が停止し、顧客データが危機に瀕したら――。想像するだけでも恐ろしいこのシナリオが、実際に起きた企業の「生々しい」体験談が注目を集めています。
先日開催された「RIKEN 未来創造フェス2025」で、物流とITオートメーション事業を展開する株式会社関通の代表取締役社長・達城久裕氏が登壇。「サイバー攻撃を乗り越えた企業の選択 ~経営者が築くセキュリティ文化~」と題し、その壮絶な復旧プロセスと、危機を乗り越えるために経営者が下した決断について語りました。
この講演は、単なる技術的な対策論にとどまらず、いかにして企業全体でセキュリティ意識を醸成し、危機を成長の契機とするかという、より本質的な問いを投げかけるものでした。私もその内容に深く感銘を受け、この貴重な経験が多くの企業にとっての羅針盤となるはずだと確信しています。
1. 講演で見えた「企業存続の危機」と経営者の決断
関通が2024年に直面したサイバー攻撃は、まさに 「企業存続の危機」 でした。業務停止、データ損失という深刻な事態の中、達城社長は初動対応、復旧への取り組み、そして経営者としての重い決断を迫られます。講演では、その時のリアルな状況が具体的に共有されました。
印象的だったのは、この危機を単なる損害としてではなく、企業文化を変革し、再成長へとつなげる契機としたというお話です。困難な状況下でも前向きな視点を持ち、組織全体で課題を克服しようとするリーダーシップがなければ、これほど迅速な復旧は不可能だったでしょう。
また、セキュリティ専門企業である株式会社CISO代表の那須慎二氏も登壇し、関通の復旧を支援した立場から、中堅・中小企業が陥りがちなセキュリティの盲点とその克服法について提言されました。専門家の知見と実体験が交差するディスカッションは、参加者にとって非常に価値のある時間だったに違いありません。

2. 参加者の声から読み解く、現代企業のセキュリティ意識
講演後のアンケート結果からは、現代の企業がセキュリティ対策にどのような意識を持っているかが浮き彫りになりました。52名の参加者のうち、40名が回答(回答率77%)という高さからも、このテーマへの関心の高さが伺えます。
2.1. 特に参考になった内容
参加者が 「特に参考になった内容」 として最も多く挙げた項目は以下の通りです。
- サイバー被害と復旧までの取り組み: 27件
- 攻撃の経緯と初動対応: 22件
- セキュリティ戦略と経営者の役割: 21件
- 中小企業が陥りがちな盲点とその克服法: 20件

私が注目したのは、「サイバー被害と復旧までの取り組み」という、まさに「経験談」がトップに挙げられた点です。これは、多くの企業が漠然としたサイバーリスクに不安を感じており、具体的な「もしも」の時の対処法や経営判断に強い関心があることを示唆しています。また、経営者の役割や中小企業特有の課題克服法への関心も高く、単なる技術論では解決できない、組織全体でのアプローチの重要性が再認識されたと言えるでしょう。
2.2. 重視するセキュリティ対策のポイント
今後セキュリティ対策を検討する際に重視するポイントとしては、 「コスト」と「外部からの攻撃対策」が同率で最も多く挙げられました。
- 外部からの攻撃対策: 25件(26%)
- コスト: 25件(26%)
- 運用のしやすさ: 19件(52%)
- 法令遵守: 9件(14%)
- その他: 2件(7%)

ここからは、多くの企業が「効果的な外部対策を講じたいが、現実的な予算と運用の中でどこまでできるのか」というジレンマを抱えていることが見えてきます。セキュリティは、どこまでも予算をかければ良いというものではなく、自社の状況に合った費用対効果の高い対策が求められているのです。
2.3. 対策検討の相談意向
そして特筆すべきは、講演内容を踏まえたセキュリティ対策の検討相談意向で、なんと参加者の97%が前向きな姿勢を示したことです。
- 検討中: 22件(55%)
- はい(相談したい) : 17件(42.5%)

この数字は、達城社長の「リアル」な体験談が、参加者の心に深く響き、具体的な行動への意欲を刺激した証拠でしょう。サイバーリスクを「自分事」として捉え、対策を講じる必要性を強く感じた方が多かったのだと思います。
3. 教訓を未来へ:BCPとサプライチェーンの視点
達城社長は、サイバー攻撃という「企業存続の危機」に直面した際の迅速な復旧と、そこから得た教訓を未来へ還元する重要性を強調しました。参加者からも、このような示唆に富んだコメントが寄せられています。
- 「サイバー攻撃の被害が発生する前提でのBCPプラン策定と訓練の重要性を再認識しました」
- 「被害者であると同時に取引先に対しては加害者となってしまう」

これらは、単に自社を守るだけでなく、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan) として、万一の事態に備えることの重要性を示唆しています。そして、さらに視野を広げると、サイバー攻撃は自社だけでなく、サプライチェーン全体に甚大な影響を及ぼす可能性があります。自社が被害者であると同時に、取引先にとっては加害者となりうる――この視点は、現代の企業経営において避けて通れない課題です。
4. 危機から生まれた実践的ソリューション「サイバーガバナンスラボ」
関通は、2024年に受けたサイバー攻撃という未曾有の危機を経て、企業としての在り方やサイバー対策の根本的な見直しに迫られました。この経験から強く感じたのは、「経営者自身がサイバーリスクを深く理解し、組織全体で備える必要がある」という現実。
この教訓を活かし、関通はサイバーセキュリティの専門企業であるCISOとパートナーシップを締結し、新たに立ち上げたのが、実践型のプログラム 「サイバーガバナンスラボ」 です。
「サイバーガバナンスラボ」のココがすごい!
- “リアルな被害事例”に基づく知見: 関通自身の経験を基に、再発防止や危機管理に直結する生きた情報を提供します。
- 経営目線と専門技術の融合: CISOとの連携により、「経営者としてどう判断すべきか」という視点と、高度な専門技術による対策の両面からサポート。
- 「備え」と「行動」の習得: 単なる知識提供にとどまらず、危機対応に本当に必要な「備え」と「行動」を習得できる実践的なプログラムです。
多くの企業が直面するであろうサイバーリスクに対し、この「サイバーガバナンスラボ」は、中小企業が本当に必要としている実践的なセキュリティ対策を具体的な形で提供しています。あなたの会社も、このプログラムを活用することで、組織全体のサイバーリテラシーを高め、万全の備えを築けるかもしれません。
- サービス詳細はこちら:サイバーガバナンスラボ
5. 登壇者と関連企業について
今回の貴重な講演と、そこから生まれた新しい取り組みを牽引する企業をご紹介します。
5.1. 株式会社関通

EC物流のパイオニアとして40年以上の歴史を持つ企業です。年間約1,500万個以上の出荷実績を誇り、toC・toB物流のアウトソーシングから物流システムの開発・販売まで幅広く手掛けています。2024年にサイバー攻撃という逆境を経験しましたが、迅速な復旧と経営判断で危機を乗り越え、その経験を業界の未来に還元する姿勢を示しています。
- 公式サイト:株式会社関通
5.2. 株式会社CISO 代表取締役 那須慎二氏

インターネットがまだ黎明期だった1992年からコンピュータテクノロジーを専攻。大手情報機器メーカーや大手経営コンサルティングファームでの経験を経て、中堅・中小企業専門のサイバーセキュリティ支援を行う株式会社CISOを創業しました。「人の心根を良くすることで『セキュリティ』を考える必要のない世界の実現」を目指し、長年の知見に基づく独自のセキュリティコンサルティング(特許取得済み)を提供しています。
まとめ:セキュリティは「文化」として根付かせる時代へ
今回の講演レポートを通じて、私が最も強く感じたのは、「サイバー攻撃はいつ、どの企業にも起こりうる」という厳然たる事実と、「それを乗り越えるには、技術的対策だけでなく、経営者のリーダーシップと組織全体のセキュリティ文化の醸成が不可欠である」ということです。
関通の達城社長が語った「リアル」な体験と、そこから生まれた「サイバーガバナンスラボ」は、多くの企業が抱えるサイバーセキュリティの課題に対する、実践的で具体的な答えを示しています。あなたの会社も、この貴重な教訓を活かし、強固なセキュリティ文化を築き、未来に向けた盤石な事業基盤を構築する一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。











