清酒酵母で造るウイスキーに、ボルドーのワイン樽をどう組み合わせるのか。西堀酒造が「哲/TETSU」の2026年版で重視したのは、樽の名声だけでなく、清冽な吟醸香とキレを残しながら果実味を重ねることでした。取材では、原酒の構成比率を何度も調整し、香りの立ち上がりから余韻までを確かめたと説明しています。
11月20日発売予定の「小山エディション 2026」と「日光エディション 2026」。その原酒選びの考え方と、家で香りの変化を楽しむための飲み方を、西堀酒造への取材回答から紹介します。

清酒酵母の原酒に合う樽を探す
「哲/TETSU」を手がけるのは、1872年創業の西堀酒造が栃木県小山市で運営する日光街道 小山蒸溜所です。今回のプレスリリースでは、日本酒造りを基盤に、清酒酵母による発酵や、酒米を磨く際に生まれる吟醸粉の活用に取り組んでいることが紹介されています。

同社は取材に対し、ウイスキー造りに清酒酵母を100%使用し、その特性に合わせて発酵工程、蒸留方式、原材料、設備を工夫していると回答しました。一般的なウイスキー酵母とは異なる香味を持つ蒸留したての原酒に、どんな樽が適しているのか。従来の樽熟成の考え方がそのまま当てはまるとは限らず、まだ探究の途上にあるといいます。

ワイン樽に可能性を感じた背景には、杉樽での試行錯誤がありました。清酒酵母由来の香味と杉の芳香に独特の親和性を感じた経験から、ワイン樽にも自分たちの原酒ならではの組み合わせがあるのではないかと考えたそうです。さらに、日本酒とワインがともに発酵から香味を生む醸造酒であることにも着目しました。
名のある樽よりも、吟醸香とキレを残せるか
挑戦するなら最高峰の樽で試したいという思いから選んだのが、ボルドー五大シャトーのワイン樽でした。ただし、西堀酒造は取材で次のように強調しています。
「ただし、名のある樽を使えば良いウイスキーになるわけではありません。」
西堀酒造株式会社・取材回答より
原酒選定で最も重視したのは、「哲/TETSU」らしい清冽な吟醸香とキレを損なわず、ワイン樽の果実味や奥行きを重ねること。実際のヴァッティング・ブレンドでは、各シャトーの樽が原酒に与える個性を確かめながら、構成比率を何度も調整したといいます。

ワイン樽の主張が強すぎれば、清酒酵母由来の繊細な香味が埋もれてしまう。そこで、最初に立つ香り、口に含んだときの香り、余韻という一連の流れの中で、何を引き立て、どこで収束させるかを探ったそうです。樽を使うという公開情報に加え、その香味をどの程度生かすかが調整の中心だったことが分かります。

同社によると、2025年版は比較的個性の強い、稀有な樽同士を組み合わせる設計。一方の2026年版では、その系譜を受け継ぎつつ、近しい存在感を持つ原酒を幾層にも重ねて一つの酒質を組み上げる方法を採りました。目指したのは、エレガントで丸みのある味わいと、甘やかな果実味からすっと切れていく余韻です。
小山と日光、二つの2026年版の違い
小山エディション:モルト原酒の重なり
小山エディション 2026は、清酒酵母で醸したモルト原酒を用いるシングルモルト。ボルドー五大シャトーの複数のワイン樽で追熟した原酒を中心に、バーボン樽熟成の原酒などを重ねています。取材では、華やかな吟醸香、豊かな果実味、繊細なタンニンの重なりと、丸みのある味わいからドライに切れる余韻に注目してほしいと説明しています。

日光エディション:米のグレーン原酒と杉和樽
日光エディション 2026は、モルト原酒に、酒米を磨く過程で得られる吟醸粉を用いたグレーン原酒を合わせたブレンデッド。ワイン樽で追熟したモルト原酒を軸にブレンドし、最後に日光東照宮の正式な使用許諾を受けた御神木杉の和樽で仕上げます。原材料や仕上げについては、西堀酒造の発売案内でも確認できます。

取材回答では、清冽な吟醸香、ぶどうを思わせる果実味、杉の爽やかな香りがどう重なり、余韻へつながるかを、時間をかけて味わってほしいとしています。

まずストレートで、少し時間を置いてから
家庭での楽しみ方を尋ねると、西堀酒造は、まずストレートで味わう方法を勧めました。最初から氷や水を加えず、グラスに注いで少し時間を置き、香りの立ち上がりと変化を楽しむという提案です。香りから余韻までの流れを大切に設計していることが、その理由でした。
「グラスの中で香りがほどけていく時間も、ウイスキーの味わいの一部だと考えています。」
西堀酒造株式会社・取材回答より
その後は、数滴の水を加えてみるのもおすすめとのこと。わずかな加水で、香りの印象や味わいの輪郭が変わることがあるといいます。飲み終えたグラスに残る香りにも楽しみがあるそうです。飲み方を固定するというより、まずそのまま確かめ、続いて自分の好みに合わせて変化を楽しむ考え方です。
発売日と予約方法
両商品とも700ml、アルコール分52%、専用化粧箱入りで各1,000本限定。発売は2026年11月20日です。発売リリースの商品概要に基づく参考小売価格は、小山エディションが19,250円(税込)、日光エディションが21,780円(税込)です。
- 取扱酒販店:11月20日以降、順次販売予定。予約の有無、入荷日、数量は店舗により異なります。
- 公式オンラインショップ:メール会員・公式LINE会員を対象に、11月1日10:00〜11月14日23:59に数量限定で予約を受付予定。新規登録者も対象で、購入ページはLINEとメールで案内されます。予定数量に達すると終了します。
- 西堀酒造アンテナショップ:12月1日から店頭販売予定。店頭分にも数量の限りがあります。
オンライン予約分は11月20日から順次発送予定です。購入を検討する際は、公式の販売案内で最新の受付状況を確認してください。
本記事は西堀酒造株式会社への取材回答と公式公開情報に基づき作成しました。編集部による試飲記事ではなく、香味の説明は同社の回答・商品説明によるものです。写真は同社提供およびプレスリリース掲載素材です。20歳未満の方の飲酒は法律で禁止されています。MONOLABの取材記事の編集方針










