ベッドに横になったまま朝の空を見上げ、食事の最後には二人で焼き上がった粘土を割る。滋賀県高島市朽木に11月13日オープン予定の「enBED(エンベッド)」は、森と針畑川に囲まれた、1日1組・2名限定の宿です。
「何もしないために泊まる」という宿で、実際にはどんな時間を過ごせるのでしょうか。MONOLABは運営する株式会社商建に、夕食で宿泊者がすること、雨の日の朝食、寝室の設計、サウナについて聞きました。

夕食の「最後のひと手間」は、二人で粘土を割ること
宿の発表では、夕食を「ふたりで最後のひと手間を加えて仕上げる」と紹介しています。取材でその中身を尋ねると、信楽の粘土で食材を包み、薪火でじっくり焼き上げた料理を用意するという回答がありました。
宿泊者が担当するのは、焼き上がった粘土を一緒に割り、中の料理を取り出す仕上げです。薪火での調理から自分たちでするのではなく、用意された料理を二人で開く。食卓で手を動かす、具体的な場面が見えてきました。
食事は「料理屋太賀」店主の高田太賀氏が監修し、近江牛のしゃぶしゃぶや近江米の土鍋ごはんなど、滋賀の食材を取り入れています。提供写真には、器に盛られた料理や土鍋、野菜と肉の並ぶ食卓が写っています。

バトラーは配膳や案内、料理の説明を担当。席に着くと川と森を照らす照明が灯り、食後には屋外の焚き火へ案内する流れだといいます。夕食を終えてからも、宿の中で過ごす時間が続きます。

ドリンクはオールインクルーシブ。取材では、滋賀の地酒を含む夕食のペアリングに加え、ミニバーやサウナドリンクも滞在中に楽しめると教えてくれました。
雨や寒さで川床を使わない朝は、離れのダイニングへ
針畑川の浅瀬で味わう「川床モーニング」も、この宿が案内している体験の一つ。ただ、11月開業と聞くと、寒い日や雨の日はどう過ごすのかが気になります。
同社によると、雨天時や寒い季節は、夕食と同じ離れのダイニングで朝食を用意します。川や山を見渡せる場所にあり、朝は夜とは違う自然光のなかで食事を楽しんでもらいたいといいます。

朝食は、湯豆腐や豆腐粥を中心に、琵琶湖の水産物を使った佃煮などを取り入れるとのこと。提供された朝食の写真にも、豆腐の入った器、ごはん、佃煮などが並びます。川床で食べることだけを旅の目的にせず、天候に応じた朝の過ごし方も知っておくとよさそうです。

寝室で味わってほしいのは、朝の空と光
ベッドルームの写真では、大きな天窓と、壁に連なる窓が目を引きます。どの景色を楽しんでほしいのかを聞くと、同社が最初に挙げたのは「ベッドに寝転んで見上げる朝の空」でした。

天井のトップライトに加え、寝室の壁は三面に開口を設けています。一方、リビングの大きな開口は東側一面。部屋ごとに光の入り方を変え、寝室では自然に包まれて眠り、朝の光とともに目覚める感覚を目指したといいます。
工夫は窓だけではありません。ベッドルームの床はほかの空間より高く、数段の階段を上って入る設計です。視点の高さを変えることで、自然の中に少し浮かんでいるような感覚を演出したいと説明してくれました。
床材も、ほかの空間はモルタルに墨を塗り込んだ黒を基調とする一方、寝室は杉のフローリング。景色を眺める目線に加えて、素足で触れる素材にも変化をつけています。外から寝室を写した写真でも、窓に囲まれたベッドとテラスの位置関係が分かります。

サウナは電気式。信楽焼の風呂と屋外の休憩スペースも
開業時のサウナについて取材で確認したところ、HARVIA社製の電気式ストーブを採用するとのことでした。天井には針畑川の水面をイメージした水盤を設えています。
半露天風呂には、二光陶房が製作した深緑の信楽焼の陶器風呂を設置。提供写真では、暗い壁で縁取られた開口の向こうに木々が広がり、その手前に丸い浴槽が据えられています。

取材素材には、陶器の浴槽を製作している場面もありました。滞在する空間の写真に、ものを作る現場の一枚が加わることで、宿に置かれた器の大きさや手仕事にも目を向けられます。

屋外には水風呂と休憩用の椅子も。風呂やサウナの時間を、屋外で休むひとときへつなげられる設えです。

観光を詰め込まず、敷地の中で過ごす一泊
宿には高島ちぢみのパジャマやオリジナル作務衣、書籍、レコードなども用意されます。CHICO SHIGETA氏監修のオリジナルオイルを使ったセルフケアも、滞在中の選択肢の一つです。

宿泊料金は1泊2名148,000円(税別)から。夕朝食、ペアリングドリンク、ミニバー、サウナドリンクが含まれます。所在地は滋賀県高島市朽木平良字世波栗521で、京都東ICから車で約1時間20分と案内されています。
発表された予約受付日は、LINE先行が10月21日、公式サイトでの一般受付が10月22日。宿泊プランや予約方法の最新情報はenBED公式サイトで確認できます。
観光地をいくつも巡る旅とは別に、寝室の光、夕食の仕上げ、朝の景色をゆっくり味わう一泊。取材で聞いた具体的な過ごし方からは、二人の時間を敷地の中でどう組み立てているかが伝わってきます。
※開業・料金情報は2026年10月22日時点。掲載写真は施設提供のもので、編集部の宿泊体験ではありません。取材協力:株式会社商建(enBED)。










