奈良の鹿フンが、まさかの「美しい石」に!?「DEER DROP STONE PROJECT」が描く、人と自然の新たな共生
皆さんは、奈良公園の鹿たちが私たちにもたらしてくれる恵みについて、深く考えたことはありますか? 彼らの愛らしい姿は、奈良の風景に欠かせないものですが、実はその裏には、人間と野生動物の共生における様々な課題が隠されています。
そんな中、今回私が注目したのは、その課題の一つである「鹿のフン」を、驚くほど美しく、そして持続可能な形で私たちの暮らしに取り入れるという画期的なプロジェクトです。その名も「DEER DROP STONE PROJECT(ディア・ドロップ・ストーン・プロジェクト) 」。
一見、想像もつかないようなアイデアですが、研磨石製造で国内シェア70%を誇る国広産業株式会社が、長年培った技術とデザインの力を結集し、この挑戦に挑んでいます。
まさかの素材が、暮らしに寄り添う「石」へ
このプロジェクトの核心は、奈良公園の保護施設「鹿苑(ろくえん)」で日々排出される鹿フン堆肥を、新たな人造石素材の原料として活用するという点にあります。フンを素材にするなんて…と、最初は誰もが驚くのではないでしょうか。
しかし、国広産業が50年以上にわたり培ってきた研磨石の製造技術が、この「廃棄物」とも言える素材に、新たな命を吹き込みました。単なるリサイクルに留まらず、環境への配慮と、日々の暮らしに溶け込む上質なデザイン性を両立させた、まさに「地域循環共生」の新たなカタチです。
プロジェクトの売上の一部は「一般財団法人 奈良の鹿愛護会」に寄付され、奈良の鹿の保護活動に貢献します。つまり、この「石」を手にすることで、私たちも間接的に、奈良の豊かな自然と鹿たちの未来を支えることができるのです。
▲ 鹿のフンから生まれたプロダクトが、日々の暮らしに溶け込む
▲ 奈良の鹿たち
▲ プロジェクトロゴ
プロジェクト背景:なぜ今、鹿フンなのか?
「神の使い」として親しまれる奈良の鹿ですが、近年はその頭数増加(2024年調査で1,325頭)に伴い、人とのトラブルや農作物への食害、そして保護活動の維持といった課題が顕在化しています。特に、交通事故や病気で保護された鹿たちが暮らす「鹿苑」では、日々大量の鹿フンが発生し、その利活用が模索されていました。
「DEER DROP STONE PROJECT」は、この未活用資源である 「鹿フン堆肥」をプロダクトの主原料として再定義することで、人間と野生動物の「あわい(境界線)」をデザインし、持続可能な社会を問い直す試みなんです。
▲ プロジェクトの循環モデル
▲ 奈良の鹿苑で保護される鹿たち
▲ 鹿フン堆肥「しかっぴ」
50年の技術が光る!「奈良の鹿フン」がアートな「石」に
このプロジェクトの実現を可能にしたのは、国広産業が長年培ってきたバレル研磨技術です。回転する容器の中で素材同士や研磨石を長時間接触させることで、表面を滑らかにし、角を落とす加工技術のこと。これを応用し、鹿フン堆肥と天然鉱石、樹脂を独自の比率(堆肥含有量 約30~35%)で配合した新たな人造石が誕生しました。
私が特に注目したのは、その色彩と手触りです。着色材を一切使わず、堆肥と鉱石が持つ本来の色相だけで、**マットで上品な5色のグラデーション **(Light gray, Gray, Gray brown, Brown, Dark brown)を表現しているというのです。これは、まさに「野生動物と人間のあわい」を表現した、素朴で奥深い美しさ。
さらに、バレル研磨によって、まるで長い年月を経て川岸に流れ着いた小石のような、さらさらと手に馴染む心地よい質感を実現。アップサイクル素材でありながら、肉厚で軽く、割れにくいという工業製品としての確かな品質も兼ね備えているというから驚きです。
▲ 鹿フン堆肥がもたらす、自然な5色の色彩
▲ バレル研磨工程の一部でしょうか
日常に自然を取り入れる、全9種のプロダクトラインナップ
この特別な素材を使って、デザインディレクターのカワセケイスケ氏が手掛けたプロダクトは、全9種類。デスクやテーブル、シェルフに置けるサイズ感で、割れにくい素材を活かした扱いやすさも魅力です。シンプルながらも、使う人の「触覚」と「体験」を重視したデザインに、私も惹かれました。
1. てざわりマテリアル
川の小石のような手ざわりが特徴。素材そのものの風合いを生かし、触れる、置く、留める(磁石内蔵)といった行為を楽しめるオブジェです。
▲ てざわりマテリアル
2. いちりんざし
本体とベースが2パーツで構成され、生ける植物や枝ぶりに合わせ、本体の角度を自由に傾けてスタイリングを楽しめます。デスクやシェルフに最適な一輪挿しです。
▲ いちりんざし
3. フラワーベース(コインバンク / コンテナ)
小ぶりなブーケサイズの花器シリーズで、清掃しやすい2パーツ構成。円筒型は貯金箱、オーバル型は小物入れとしても機能します。花を飾るだけでなく、お金や資源の「循環」、そして自然との「共生」に意識を向けるきっかけとなる多機能な道具として設計されました。
▲ フラワーベース
4. プラントポット(2号・3号・寄植S/M/L)
多肉植物や観葉植物にぴったりの、愛らしいフォルムの鉢シリーズ。本体と受け皿を重ねたスマートな一体型デザインで、底面の排水口から直接器へ水が流れる機能美を備えています。単体で楽しむサイズに加え、複数の植物を組み合わせて「小さな生態系」を構築できる寄せ植え用も展開。暮らしのすぐそばに、自然との共生を取り入れやすいラインナップです。
▲ プラントポット
国広産業と「stone+」:工業技術とデザインの融合
この革新的なプロジェクトを立ち上げたのは、1972年創業の国広産業株式会社です。奈良県葛城市に拠点を置き、バレル研磨用樹脂メディアの国内トップシェアを誇る、まさに「石のプロフェッショナル」。
長年、工業製品の「裏方」として石を追求してきた同社が、2023年に自社ブランド「stone+(ストーンプラス) 」を立ち上げました。「研磨石の可能性を広げる」を掲げ、工業技術にデザインという新たな息吹を吹き込み、現代の暮らしに調和するプロダクトを提案しています。
代表取締役の影石崇氏は、20代で経営を引き継ぎ、伝統技術の継承と革新を両立させてきた人物。「奈良の鹿と人が共に生きるこの稀有な都市構造に、私たちはあらためて大きな価値を見出しています」と語る彼の言葉からは、地域への深い愛情と、未来を見据える強い意志が感じられます。
▲ デザインディレクター カワセケイスケ氏
▲ 国広産業株式会社 代表取締役 影石崇氏
プロジェクトを体験するには? 注目の初披露イベント!
この「DEER DROP STONE PROJECT」は、2026年8月の一般販売に先駆けて、 「第101回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2026」で全ラインナップが初披露されます!
実際に触れて、その質感やデザインを体験できる貴重な機会となるでしょう。
【出展情報】
- 展示会名: 第101回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2026
- 会期: 2026年2月4日(水)~6(金) 10:00~18:00(最終日は17:00まで)
- 会場: 東京ビッグサイト
- 出展エリア: FOCAL POINT(西展示棟アトリウム)
- ブースNo.: 西AT-FP-03(DEER DROP STONE PROJECT)
- ご来場には来場登録が必須です。詳細は公式サイトをご確認ください。
- 東京インターナショナル・ギフト・ショー公式サイト
【購入方法】 一般販売は2026年8月予定となっています。現時点での具体的な購入窓口は不明ですが、今後プロジェクト公式サイトなどで情報が公開されると予想されます。ぜひ、今のうちにチェックして、今後の動向にご注目ください!
まとめ:自然との「あわい」を感じる豊かな暮らしへ
鹿のフンという、これまでの常識では考えられなかった素材から、これほどまでに美しく、そして深いストーリーを持つプロダクトが生まれることに、私は深い感銘を受けました。
「DEER DROP STONE PROJECT」は、単なる新製品の発表ではありません。それは、人間と野生動物、産業と環境、そして歴史と未来が交差する、新たな「共生」の在り方を私たちに問いかけるメッセージだと感じています。
あなたのデスクや窓辺に、奈良の鹿から生まれた「石」を一つ置いてみませんか? それはきっと、日々の暮らしに穏やかな豊かさをもたらし、自然とのつながりを身近に感じさせてくれるはずです。
詳細はこちらから: DEER DROP STONE PROJECT 公式サイト 国広産業株式会社 公式サイト stone+ 公式サイト











