一般社団法人日本ウィメンズヘルスケア協会と株式会社メディカルリテラシーは、40代からの女性の健康と企業における健康経営を両立させる新たなモデルを推進すると発表した。両者は、医学的・科学的知見を有する協会と、手軽な郵送検査サービスを提供するメディカルリテラシーが連携し、女性の隠れた不調の可視化と適切なケアの促進を目指す方針である。
日本において、40代からの女性の健康問題は深刻な社会課題となっている。更年期に伴う心身の不調は、個人の生活の質(QOL)を低下させるだけでなく、日本全体で年間約1.9兆円もの経済損失に繋がるとの衝撃的な試算が示されている。これまで個人的な問題とされがちであったが、経済産業省が「健康経営銘柄2026」の評価項目に「女性の健康保持・増進に向けた取り組み」を追加するなど、企業による女性の健康支援は喫緊の経営課題として認識が進む。両者の取り組みは、「40代からの女性活躍推進の新しい形を創る」ことを共通のミッションとしている。
この取り組みの核となるのが、株式会社メディカルリテラシーが提供する女性ホルモン(FSH:卵胞刺激ホルモン)郵送検査サービス「ホルモンバランス パスポート」である。FSHは脳から分泌され卵巣に卵胞成熟を促すホルモンであり、その値の変動は卵巣機能の変化、すなわち女性ホルモン分泌状態の変化を示す重要なサインとなる。特に40代以降の女性にとって、FSH値は更年期の入り口を示す指標として注目される。同サービスは、国内初の微量血液(わずか0.065ml)検体でFSH値を郵送検査できる点が特徴だ。指先からの簡単な血液採取とWeb問診サービスによるライフスタイルチェックを組み合わせ、臨床内科医が設計したデータ分析システムを通じて、利用者は自身の状態を多角的に把握することが可能である。
この連携による包括的なヘルスケア支援モデルは、個人と企業双方にポジティブな影響をもたらすものと期待される。個人の女性は自身のホルモンバランスの変化を早期に把握し、不安軽減や現在の不調(メンタル不調、ホットフラッシュなど)の改善、さらには将来の健康リスク(骨粗鬆症、脂質異常症など)の予防に繋がることが見込まれる。企業にとっては、女性従業員の健康課題への理解と支援体制を強化することで、従業員の生産性向上、離職率低下、エンゲージメント向上に貢献する。また、「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」の認定要件にも対応し、企業価値向上や長期的な医療費抑制に繋がる可能性も示唆された。日本ウィメンズヘルスケア協会は専門医による研修、メディカルリテラシーはFSH検査とデータ分析で、企業が具体的な健康経営施策を実行できるよう支援する方針だ。












