合同会社クラウドエンジン(札幌市中央区)は、スマートフォンにカードをかざすだけで電話がかけられる「電話をかけるカード カケル」の提供を5月1日に開始した。非接触IC(NFC)技術を利用しており、設定不要で利用可能。電話番号の入力ミスを防ぎ、高齢者やスマホ操作に不慣れな人でも簡単に発信できる。無人受付や緊急連絡用など、迅速かつ正確な電話発信が求められる場面での利用を見込む。
スマホにかざすだけで電話がかかる新発想のカード「カケル」が登場
「電話をかける」という当たり前の行為が、さらに手軽になるかもしれない。合同会社クラウドエンジン(札幌市中央区)がこのたび提供を開始したのは、スマートフォンにカードをかざすだけで電話をかけられるという斬新なツール、その名も「電話をかけるカード カケル」である。
カードをスマホにかざすだけで電話発信が可能に
カードをかざすだけ、その仕組みとは
どのような技術でそれが実現するのか、まずはその概要から見ていこう。この「カケル」は、マイナンバーカードや交通系ICカードでおなじみの非接触IC(NFC)技術を活用している。スマホのNFC機能でカードを読み取ると、あらかじめ設定された電話番号が画面に表示され、タップ一つで発信操作へ進めるのだ。
設定不要の「手軽さ」がもたらす利点
私がこの製品に注目したのは、その**「設定不要」という手軽さ**である。カードが手元に届けば、すぐに使い始められるという。複雑な設定やアプリのインストールは一切不要とのこと。これは、特にスマートフォン操作に不慣れな方にとっては大きなメリットとなるだろう。
従来の電話のかけ方は、電話番号を記憶するか、電話帳から探すか、あるいは手入力する必要があった。しかし、「カケル」を使えば、ただカードをスマホにかざすだけでよい。これにより、電話番号の押し間違いや探し間違いといったヒューマンエラーを効果的に防ぐことができる。
カード表面には電話番号や名称、二次元コードも記載
カードには、指定した電話番号と会社名などの名称、そして万が一NFCがうまく読み取れない場合のために発信用二次元コードも併記されている。この二次元コードは、ある意味で「カケル」の安心設計を象徴していると言える。
「カケル」が活躍する具体的なシーン
では、この「カケル」はどのような場面でその真価を発揮するのだろうか。想像力を掻き立てる、いくつかの具体的な利用シーンが想定されている。
- 無人受付: 店舗や施設での無人受付に設置すれば、来訪者は迷うことなく担当者へ連絡できる。電話帳から番号を探す手間も省けるため、スムーズな受付が可能となる。
- テクニカルサポート/故障受付: 製品にカードを同梱したり、サポート窓口に設置したりすることで、ユーザーはすぐにサポートへ電話をかけられる。問題解決までの時間短縮につながるだろう。
- 緊急連絡用: 高齢者や子供が留守番をする際、緊急連絡先を登録した「カケル」カードを持たせておけば、パニックにならずに連絡できる安心感がある。電話番号を覚えたり、電話帳を探したりする精神的な負担が軽減される。
- オンコール体制: 医療機関やシステム保守など、緊急呼び出しが多い業務において、特定の担当者へ迅速に連絡する必要がある場合に有効である。
- 歩行や操作が不自由な方: 固定電話まで歩くのが難しい場合や、スマートフォンの小さな画面操作が困難な場合でも、手元にあるカードをかざすだけで電話をかけられるため、自立した生活を支援するツールとなり得る。
このように、「カケル」は、間違いなく、すぐに電話をかけて欲しいという、確実性と迅速性が求められるシーンに特に適していると言えよう。
価格と入手方法:導入コストはどうか
「カケル」は、ウェブサイトから簡単に注文できる。注文時に、カードに記載したい電話番号や名称を指定すれば、内容が印字されたカードが送付される仕組みだ。気になる価格設定はどうだろうか。
注文枚数 | 1枚あたりの価格(税込) |
---|---|
1枚 | 3,630円 |
2~5枚 | 3,278円 |
6~10枚 | 2,112円 |
11枚~ | 1,870円 |
オリジナルデザイン | 4,400円~ |
複数枚をまとめて注文すると、1枚あたりの価格が大きく下がる設定となっている。1枚だけだとやや高価に感じるかもしれないが、無人受付やサポート窓口など、複数の場所で活用することを想定すれば、11枚以上購入時の単価1,870円は、提供される利便性や間違い防止の価値を考えれば、十分検討に値する価格帯ではないだろうか。特に法人利用においては、導入しやすい価格と言える。
継続的な費用はかからないため、一度購入すればランニングコストを気にすることなく利用できる点は評価できる。今後、デザインの選択肢が増える予定とのことで、オリジナルデザインの相談も可能というから、企業のブランディングにも活用できる可能性を秘めている。
詳細や購入については、公式サイトhttps://kakeru.store/を確認されたい。
開発元:合同会社クラウドエンジンとは
このユニークな「カケル」を開発・提供するのは、札幌市中央区に本社を置く合同会社クラウドエンジンである。2020年11月に設立された同社は、IP電話サービス「りもふぉん」やWEBマーケティング事業などを手掛けている。電話に関するサービスを提供する企業だからこそ、このような「電話をかける」という行為に着目し、新たな価値を生み出せたのかもしれない。
同社の事業内容や企業情報については、公式サイトhttps://cloudengine33.com/を参照すると良いだろう。
まとめにかえて
電話番号を手入力したり、電話帳から探したりする手間を省き、「かざすだけ」で確実に電話をかけられる「電話をかけるカード カケル」。一見シンプルなアイデアだが、その背景には、電話をかけるという行為につきまとう小さなストレスやリスクを軽減したいという開発者の思いが見て取れる。無人化が進む社会の新たなツールとして、あるいは、誰もが安心して電話をかけられるためのユニバーサルデザインとして、今後どのような展開を見せるのか、注目していきたい製品である。