朗読は日本語、歌はイタリア語。東京電機大学で11月13日に開かれる「イタリア絵本と音楽のコンサート」では、歌詞の日本語の抄訳や解説も添える予定です。初めて鑑賞する人に耳を傾けてほしいのは、朗読から歌へ移り変わる瞬間だといいます。
取り上げるのは、芸術家ミケランジェロの生涯と、民話に登場する少女ペリーナの冒険。なぜこの2冊を選び、朗読に歌とピアノを重ねるのか。TDU ARCHI Design Laboの小西千秋さんに聞きました。

芸術家の情熱と、少女が出会う他者へのまなざし
今回選ばれたのは『ミケランジェロ 石に命をふきこんだ天才』(西村書店)と『梨の子ペリーナ』(BL出版)です。小西さんは選書の理由を、次のように説明します。
今回の2冊を選んだのは、イタリアが育んできた豊かな芸術文化と、人々の暮らしの中で語り継がれてきた物語、その両方に触れていただきたいと考えたからです。
ミケランジェロの物語で届けたいのは、創造への情熱と、ひたむきに作品へ向き合う姿。大理石の中に生命を見いだし、自らの手で生み出そうとするまなざしに、想像力やものづくりの原点を感じているそうです。芸術に限らず、建築や工学を学ぶ人にも通じるものがあるのではないかと考えています。
西村書店の書誌案内によると、この絵本はキアーラ・ロッサーニの文、ビンバ・ランドマンの絵、森田義之の訳で、ミケランジェロの彫刻・絵画・建築を子どものまなざしを通して伝える作品です。
一方の『梨の子ペリーナ』で小西さんが注目するのは、理不尽な状況に置かれても、旅先で出会う相手の苦しみに寄り添い、手を差し伸べる少女の姿。他者を理解し、受け入れることの大切さを感じてほしいと話します。
芸術家の生涯と少女の冒険という異なる物語に、目の前のものの奥にある可能性を見いだす力を重ねる。そこに、今回2冊を並べて上演する意図があります。
ペリーナの旅に、音楽で不安と希望を重ねる
朗読・歌・ピアノの三つが重なる上演では、どんな場面に注目するとよいのでしょうか。小西さんは、『梨の子ペリーナ』で少女が旅に出て、不思議な出会いを重ねていく場面を挙げました。
見知らぬ世界へ踏み出す不安や緊張、新たな出会いから生まれる希望や温かさ。それらをピアノの音色や歌声で表現したいと考えているそうです。朗読が情景を描き、音楽が言葉にならない気持ちや場の空気を伝える、という役割を思い描いています。
音楽が加わることで、一人ひとりの心の中に異なる風景が広がることを、この絵本コンサートの魅力として捉えています。
言葉をすべて理解するより、朗読から歌への変化に耳を傾けて
イタリア語や作品を知らなくても入りやすいよう、絵本の朗読は日本語で、歌はイタリア語で届ける予定。イタリア語の歌詞には、日本語の抄訳や簡単な解説を添える考えです。
特に耳を傾けていただきたいのは、朗読から歌へと移り変わる瞬間です。
語られていた物語が、音楽によって違う表情を見せる。その変化を楽しみながら、声の響きやリズム、込められた感情に触れてほしいといいます。
11月13日、北千住の丹羽ホールで開催
大学の公式案内によると、未来科学部のイブニングセミナー「芸術を媒介にした異文化理解」は二部構成です。第一部では、稲田周子さん(イタリア文化会館)、岡莉々香さん(オペラ歌手)、横手義洋さん(東京電機大学 未来科学部 建築学科教授)が、イタリアの文化芸術について対談します。
第二部の絵本コンサートには、島田あゆみさんが朗読、岡莉々香さんが歌、澤村果林さんがピアノで出演します。
| 項目 | 開催概要 |
|---|---|
| 日時 | 2026年11月13日(金) 18:30〜20:00 (18:00開場) |
| 会場 | 東京電機大学 東京千住キャンパス 1号館2階 丹羽ホール |
| アクセス | 東京都足立区千住旭町5番 北千住駅東口(電大口) 徒歩1分 |
| 参加費 | 無料 |
| 対象・定員 | どなたでも参加可能 小学生は保護者同伴 先着100組 |
| 申込み | 大学公式案内に掲載の 専用申込フォームから |
開催内容は予定です。受付状況や最新の案内は公式イベントページで確認できます。出演者・作品の詳細は主催者の案内PDFにも掲載されています。
本記事は2026年10月23日の取材回答と大学・出版社の公開情報をもとに制作しています。写真はプレスリリースの提供素材です。開催前の紹介であり、公演を鑑賞したレポートではありません。取材記事の編集方針はこちら。










